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2021年5月21日金曜日

三浦健太郎先生を悼む。

 「ベルゼルク」の三浦健太郎先生が急死との報。

まだ54歳…僕と同じ歳じゃねーか。若すぎる。

「ベルゼルク」は絶筆か…

残念すぎる…

日本漫画界にとって大きな損失です。

ご冥福をお祈りします。


ツイッターなどで僕の健康状態を心配してくださる方が多いので、僕の近況などを書きます。

一年前の二月、フランスから帰還してすぐに会社で健康診断を受けました。

血圧と血糖値が高く、糖尿病の疑いありということで内科病院に通い、軽い投薬と食事療法を続けています。

砂糖の入った飲み物をやめ、毎日家でも血圧を測り、その甲斐あって最近では体重も減って、血糖値は正常の範囲内に落ち着きつつあります。血圧はまだ高いときがあって、血中コレステロール値もなかなか下がらないので、二ヶ月に一度通院しています。

外出もほとんどしないので、今のところ新型コロナにもかかっていません。

マンガの仕事のペースは以前に比べて落ちてしまっていますが、ちゃんと仕事しています。

年内に新刊を出すのが当面の目標です。

2020年2月29日土曜日

フランス・アングレーム漫画祭に行ってきた!!(前編)


フランスのアングレーム国際漫画祭に行ってきたときのレポート動画です。
長いので前後編に分けました。
後編はバンド・デシネの巨匠・エンキ・ビラルとの対談の模様など。
お楽しみに。

大画面はこちら。
https://youtu.be/rzt4Zq7k9Y8

木城ゆきとチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UC5d4dygMjQL_wHtzefcM-YA?view_as=subscriber

2012年3月21日水曜日

45歳になりました

20日で45歳です。
19日に久々に2ちゃんのオカ版のぞいてみたら、「20日に大災害が来る!!」とか騒いでるスレがあって、その根拠が「春分の日は地球の地軸の傾きが23.4度、垂直90度からこれを引くと66.6度、すなわち獣の数字666だ!!」な、なんだってー!!
…俺はダミアンかい。



つーちゃんからの誕生日プレゼント、エステーのエアーカウンターでさっそく放射線測定してみました。
スイッチを入れ、床から1mぐらいの高さで手で持ってじっとしているだけですが、放射線量を平均して算出するので、線量の低いところでは測定完了まで5分ぐらいかかります。
何もせずじっと5分待つというのはけっこうダルい。
いいかげん飽きてきたころに測定完了。
仕事場の線量は毎時0.14マイクロシーベルト(+−20%)でした。


>銃夢BBS
> Ivanさん
佐藤秀峰インタビュー:マンガ業界の自主規制とマンガ家の反抗 <前編>
佐藤秀峰インタビュー:漫画業界の自主規制と漫画家の反抗 <後編>


記事読みました。

僕はパンチラ描けとか言われたこと一度もないな。
企業ロゴの件も、小学館で描いた「未来東京ヘッドマン」でNHKって出したけど特に何も言われなかったし。
(今確認したら擬音がロゴにかかってた…そのせい?)

担当編集者の考え方によるところが大きいんじゃないかと思うけど、もしも、僕が「パンチラ描け!」とか言われたらどうしたろうか?
「なにごとも経験だから、いっぺんぐらい描いてみるか」とか思って、調子に乗って描いたかもな〜。
でも、必然性もないのにパンチラ描くのはやっぱりいやだな。
…よく考えてみたら、僕の作品にはスカートはいた女性キャラがほとんど登場しないではないか。

企業ロゴに関しては、特別こだわりがないので、変えとけと言われたら変えるかもね。

佐藤先生のケースほどヘビーではないけど、僕も「クレームがきたらお前に責任がとれるのか」ってのは集英社との話し合いの席で言われたな。
僕は「作者が自分の描いた作品の責任を取るのは当然だろう!!」って言ったけどね。

だけど表現は誰かを傷つける可能性のあるものだということを表現者は覚悟しなければならない。
では誰かを傷つける表現は「悪」として消え去るべきなのか?
ちがうな。
見る人の心に触れる表現というものは、なんらかの意味で人の心に傷跡を残している。
だからこそ人の心に残り、心を揺り動かす。
インパクトする。
それがトラウマとなるか、感動となるか、程度の違いにすぎない。

誰の心も傷つけない人畜無害な表現は何も残さない。
多種多様な表現物の中で人畜無害な表現物はあっていい。
僕はその存在を肯定する。
しかし、誰かを傷つける表現もその存在が保証されるべきだ。
出版社による過剰な自主規制は表現の多様性を失わせる。

…みたいなことを集英社との会談でも言いました。
まあ作家側の言い分なので、出版社としては看過できないところもあるんでしょうね。

しかし佐藤先生正直だな。
秀峰先生:「でも面白いって何なんでしょうか。僕はその答えを持っていないんです。」
いっぱしのプロのマンガ家がこういうことを言うのはなかなか勇気がいるんじゃないかな。
実は僕も「面白い」がよくわからない。
自分で他人の作品を読んでいる時ははっきりと実感できるし、どこがどう面白いのか言葉で説明もできるけど、いざ、自分で描くとなるとまるで雲をつかむような話になる。
高校生頃からそのことに本腰入れて考え始めて、ずーっとあれこれ悩んでやっているうちに今のような作風になった。
自分なりの理想とするマンガの形があり、理論があり、伝えたいことがあり、こだわりがあるが、では「それが面白いことなのか」と問われると、ううむと考えこんでしまう。
実は今の絶不調も、この問題と無関係ではない。
おそらく、ある地点で踏ん切りをつけないと前に進めないと理解している。
さて、どうしたものか。

2010年10月7日木曜日

漫画制作ソフト「コミPo!」

※お知らせ(再掲)※
木城ゆきとは講談社に移籍し、銃夢LOの連載はイブニングで再開します。
掲載時期はまだ未定です。
集英社から刊行中の銃夢新装版は予定どおり刊行されます。


またまた面白いソフトが出てきましたね〜。

僕は20年前(銃夢連載より前)に「2001年にはこんなソフトが出るだろう…」と予想して、
それをネタに短編を描こうとしたのですが完成しなかったことがありました。
予想より10年遅れてついに実現ですか〜。

でもコード進行の指定だけでストーリーのアウトラインができる
「ストーリープロセッサー」はまだ実装してないみたいですね。
今後に期待、かな。

ちょうど先月末に「トキワ荘プロジェクト」という
新人漫画家支援活動のNPOの方とお会いして、いろいろとお話ししたところでした。


こういうソフトの登場は、新人教育にも影響を及ぼすのはまちがいないでしょうねえ。
初めから絵を描くのが好きな人はこういうソフトには頼らないでしょうが、
「ストーリーを考えるのは好きだけど絵を描くのはちょっと…」という人が
参入して、マンガの世界のパイを広げれば面白いですね〜。

2010年9月4日土曜日

レスなど。

※お知らせ(再掲)※
次回ウルジャンの銃夢LOは休載します。
再開は未定です。
理由はお手数ですが、ゆきと帳の過去の書きこみを参照してください。


>銃夢BBS
>銃夢初心者さん
> もし、オリジナルの銃夢が問題が無いとなった場合は講談社からオリジナルの
> 銃夢新装版が発行されることはあるんでしょうか?

今はまだ確定したことはなにもないので、可能性の話として聞いてください。
現実問題として、集英社版銃夢新装版が市場に在庫が残っている間は、講談社から紙の本として銃夢が発行される可能性は低いです。
そういうわけで当面の間は紙の本としての銃夢は集英社版銃夢新装版だけだと思われます。
集英社版銃夢新装版は増刷しない方針なので、少し経つとレアな本になるかもしれません。

講談社は電子書籍に力を入れているようなので、銃夢LO以外の僕の既刊単行本は電子書籍で出る可能性が高いです。


>ミラーさん
> 物語の最後あたり、スネブにモーターボールが語りかけるシーンがありますが、
> その時、「汝この世にていくるべし」(記憶が確かならば)という表現をされていました。
> しかし後に買った単行本のそのシーンでは、「いきるべし」になっていて少し違和感を
> おぼえたのですが、どういった理由でこうなったのでしょうか?

よく憶えてませんが、セリフを変更したりはしなかったはずなので、単なる誤植でしょう。
「灰者」と「水中騎士」2巻は単行本編集者がたわけで誤植の嵐でした。
その後、雑誌掲載時の写植データを単行本化の時に流用するようにしてミスをなくするようにしたり、紙焼きを僕がチェックしたりするように改善しました。


>ゆりりんさん
>因みに先生は、日本酒好きですか?

いや〜僕はまったくお酒はダメなんです。(^-^;)
お気持ちだけありがたくいただいておきます。

2010年8月31日火曜日

報告6。

※お知らせ(再掲)※
次回ウルジャンの銃夢LOは休載します。
再開は未定です。
理由はお手数ですが、ゆきと帳の過去の書きこみを参照してください。


今日、また護国寺の講談社のイブニング編集部に行ってきました。

今回の会談の焦点は、講談社への移籍にあたり、僕の既刊作品(旧銃夢、銃夢LO1〜15巻、その他)を表現の修正なしにオリジナルのまま発行できるかどうか、を確かめることでした。
念のために僕の既刊作品を講談社の法務部を交えて精査してもらい、最終的に問題なしということになったら、正式にイブニングに移籍して銃夢LO連載再開にする、という方向になりました。
イブニング編集長の考えでは、過去20年間発行してクレームがなかったのだから、問題はないでしょう、ということでした。
ただ既刊作品を精査するにも分量があるため、少し時間がかかるようです。

イブニング編集長は以前週刊現代の記者だったそうで、朝日新聞に籠城中の右翼団体の本部に取材に行って日本刀突きつけられたとか、相当な修羅場を経験してきた人のようです。

スムーズに事が進んだ場合、近いうちに僕は銃夢LOの仕事を再開することになります。
しかしスケジュールの調整や新環境での印刷テスト、イブニング紙面の連載スケジュールの都合などがあるため、ファンの皆さんの目に届くまでには少し時間がかかるかもしれません。

2010年8月23日月曜日

BBSへのレスなど。

※お知らせ(再掲)※
次回ウルジャンの銃夢LOは休載します。
再開は未定です。
理由はお手数ですが、ゆきと帳の過去の書きこみを参照してください。

ご心配おかけしております。
今回のトラブルも長引いてきたので、初めて来た人のためにまとめページを作らなきゃならないかな〜と思いつつ、だるいのでほっておいた。
そしたら記事になってますね。↓


まとめページ作る手間が省けました。
ちなみに、記事の中にあるウルジャンの目次コメントはトラブルが起きる以前に言ったものです。

以下、銃夢BBSへのレス。

>山城うなぎさん
>銃夢LOでUFOキャッチャーばりの恐怖のエウロパ送り!
>銃夢世界では水の価値ってどうなってるのでしょうか?

水は貴重ですよ。
ただ木星系連邦ではエウロパ現地で採掘に従事しているのは身分の高い人ではないようです。
強制収容所のようなものがあると思われます。


>ミサイルライダーさん
> 講談社側は今回の事の発端や
> やりとりの内容は知ってるんでしょうか
> また講談社にも法務部なるものがあるとして
> 講談社が自社発行としてみた場合同じ
> 箇所についてどういう見解を持ってるんでしょうかね?
> あと新装本回収とありますが
> どれくらいのコストが予想されるんでしょうか?

講談社は当然今回の件は知っています。
そしてゆきと帳にも書いたように、僕自身が17日(火)に講談社イブニング編集部におもむき、詳しく説明しました。
講談社が今回の問題表現とされた箇所にたいしてどういう見解を持っているか、僕自身もそこが一番気になるところだったので聞いてみました。
個々のケース別に判断する、ということでしたが、少なくとも今回集英社で問題になった箇所については大丈夫、のような感触を受けました。
(もしこれが僕の勘違いで、講談社でも「発狂・サイコ野郎」は発売できません、となるようだったら移籍はやめます。)
また、表現問題が発生したときは講談社は法務部を通さずに現場の編集部で判断するそうで、対応の一貫性や問題発生時の交渉もしやすそうに思えました。
本が回収される場合のコストは知りません。


>エーリカの微笑みさん
>既に公表済み作品を、作者の承諾無く改ざんするのは、明確な著作権の侵害であり

承諾はしました。
ただフェアな状況ではなかったので、撤回を求めています。

>先生が法務部に屈するとね、ガリィがムバディに降伏するようなものじゃないのかな。

(笑)…ウルジャンの銃夢LO100話読んだ人は分かると思いますが、なんか今回のトラブルを暗喩したようなエピソードなんですよ。
シンクロニシティなのかなぁ…。
コミックス派の人はすいません。いつ出るかわからない16巻を待ってください。


>ベーグルさん
>問題が起きた場合、これは先生自ら対応される覚悟なのでしょうか?

表現者が名前を出して表現したものに対して責任をとるのは当たり前じゃないですか。
プロならなおさらのことです。
20数年前からそのように周囲に公言し、矜持と覚悟を持って仕事してきました。

ただ、現実には問題が起きたときは出版社に迷惑がかかることも承知しております。
だから制作段階では問題になりそうな表現が出てきたときは柔軟に対応しております。

実例を挙げますと、銃夢LO100話でもそういうことがありました。
100話のネームを書いている最中(5月下旬)のことです。
「私にちょっかいを出すな!!」というガリイのセリフが劇中にあるんですが、ふと「ちょっかい」っていつも使ってるけど、語源はなんなんだろう?と思って広辞苑で調べてみました。
すると、
1,まがって萎縮した手。
2,相手の腕や手をののしっていう語。
3,猫などが前の片足で物をかきよせること。
4,横合いから干渉すること。
とありました。
差別的な意味があったとは知らなかったので驚いて、メールで編集部に使っていいのかどうか問い合わせました。
数日後、法務部の見解では「問題なし」と伝えられたので、そのまま使用しました。
もし「問題あり」だった場合は、「私にかまうな!!」か「私に手を出すな!!」にしようと考えていました。

以上のように、僕は発表前の作品はまだ固まってない粘土のような物だと考えているので、納得すれば変更には応じます。
しかし発表され印刷され発売された作品は焼き固められた陶器のように完成しているので、抵抗感があるのです。

ちなみに、「銃夢」はYJコミックス版が発売されて19年、完全版が発売されてから10年が経っていますが、過去読者から表現上のことでクレームが来たことは一度もありません。これは集英社法務部も認めています。

また、「今回変更されたセリフは内容が変わってしまうほどのものでもない。そんな小さなことに何をごねているのか」という考えの方もいると思います。
これは歴史の流れを意識してもらいたいと思います。
つまり、10年前はなんの問題もなく発行できた「発狂、サイコ野郎」という言葉が現在はNGとされた。
ということは、5年後、10年後には今は大丈夫とされている「狂気、狂っている」という言葉もNGとなる可能性がある。
集英社法務部は「そんな事はない」と言っていましたが、論理的裏付けがまったくない言葉なので信用できません。

上の方で「表現者は自分の表現に責任をとるのが当然だ」と書きましたが、自分の表現を守るのも最終的には表現者自身なのです。
必要なときには、戦わなければならない。
ふだんから僕はそう公言してきたし、作品の中でもそう描いています。

…まあ、その戦いのまきぞえをくらって好きなマンガが読めないファンの皆さんには、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

2010年8月5日木曜日

報告2

※お知らせ(再掲)※
次回ウルジャンの銃夢LOは休載します。
再開は未定です。
理由はお手数ですが、ゆきと帳の過去の書きこみを参照してください。

>銃夢BBS
>コナ武道さん
>今回のことでずっと思っていたのですが、
>なぜ今になって役人が出てきたんでしょうか。

役人は出てきてませんよ?
今回の件はいわゆる業界の自主規制レベルの話です。

銃夢LO1,2巻の表現がスルーされた件について、ウルジャン編集部からメールが来たので転載します。
ここに転載する了解は取ってます。
内容はいじってないので、少し長いです。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

木城ゆきと様


おつかれさまです。
『銃夢LO』1・2巻ご指摘の箇所について、
編集部の見解をまとめましたので送ります。


まず大前提としてウルトラジャンプ編集部及び集英社は、
言葉狩りをしているわけではありません。
ですから、「発狂」「サイコ野郎」という言葉自体を
使用不可にしているわけではありません。
あくまで前後の文脈で、ケースバイケースで考えていきたいということです。

それを踏まえて、今回ご指摘のあった2点を検討しました。
結論から言うと、2点とも変更をお願いするような
表現ではないという判断です。

まず1点目。
LO1巻 99ページ
「これを知った大人達の多くは発狂し…」
という表現について。
これは、

大人達の 多くは発狂し…
     ある者は暴徒と化し
     ある者は自殺した

という3つの要素が並列されている表現です。
脳の代わりにチップがある事を知って、発狂した。
発狂した結果、暴徒と化したり、自殺したという表現ではないので、
問題ないと判断しました。

もう1点について。

LO2巻 175ページ
「悪党…ペテン師…サイコ野郎だらけの中を生き抜き
 俺は今の地位を築きあげた」
という表現について。

これは、サイコ野郎=殺人鬼という表現ではありません。
更に相手を特定しているわけでもありません。

旧銃夢で修正をお願いした「死ね!サイコ野郎」というセリフは
ザパンという特定の人物に対してであり、
しかも精神に異常を来したザパンが連続殺人を犯しています。
精神障害者=何をするか分からない者というイメージを増幅させ、
精神障害者に対する偏見意識を煽ることにつながりかねないこの表現は、
避けるべきだろうと判断しました。

サイコ野郎=サイコパスの表現は、細心の注意を払う必要がありますが、
この文脈の表現に関しては、変更をお願いするようなものではないと
判断しました。


以上、取り急ぎお伝えさせていただきます。
話し合いの際に出た検討項目については、
なるべく早くご連絡できるようにいたします。
よろしくお願いいたします。



集英社UJ編集部 井藤 涼

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

2010年8月3日火曜日

報告。

※お知らせ(再掲)※
次回ウルジャンの銃夢LOは休載します。
再開は未定です。
理由はお手数ですが、ゆきと帳の過去の書きこみを参照してください。

昨日(8月2日月曜日)、集英社に行って「和解のための話し合い-その1」をしてきました。
僕が「話し合いの場を持ちたい」とメールしたのが7月16日。
そのメールへの返事が来たのが一週間後の7月24日。
その返信の中で向こうが指定してきた候補日が8月2日から4日。返信の日から数えて丸一週間以上後。
こちらからメールして会合の日まで丸二週間ということ自体噴飯ものですが、怒っていてもしかたがないので行ってきました。

会合まで長い時間がかかってしまった理由は、銃夢BBSで素朴な疑問ですさんが指摘してくれた
> LO1巻の99ページに「発狂」
> 2巻の175ページに「サイコ野郎」
というセリフがあるという件を集英社社内でどうするか調整していたためだそうです。

結論からいうと、これは「問題なし」になりました。
なぜ銃夢新装版でダメだったものが銃夢LOで大丈夫なのか…
UJ編集長がなにかウンコみたいな言い訳をぐだぐだ言ってましたが、僕にはまったく理解ができませんでした。
「理由を書いてメールで送れ」と言っておきましたがまだ来てません。
メールが来たらここに張ります。

会合の場では、僕の方からは同じようなトラブルを避けるための罰則付き誓約書を提案しました。
で、UJ側からは和解のためのなにかアイディアがあるのかきいてみましたが、なにもないとのこと。

※以下、心の叫び※
「誠意を持って…」とかぐだぐだ言ってましたが、…「誠意」ってのは信頼や仁義が通った関係の中で生きるモンなんだよな。
信頼や仁義をゴミ同然に踏みにじっておいていまさら誠意もね〜だろうよ。
ほんと、無能の集まり。
表現規制の問題にしても、銃夢新装版と銃夢LOが別扱いってのは、スジが通ってないね。
僕としては、銃夢LO1、2巻も新装版同様「修正しろ、さもなくば出さん」と言われた方がすっきりする。
その場合、僕は修正に応じる気はないので自動的に絶版となるが。
※以上、心の叫びでした※

僕としてはせめてZOTT編が終わるまではウルジャンで描きたいと思ってたが…
心が冷えた。ダメかもしれない。
いちおう二週間後ぐらいにまた集まって話し合うつもりです。

以上、報告でした。

2010年6月17日木曜日

読者の皆さんへ報告(3)とレス

昨日(16日)、東京の集英社に出向いて話してきました。
東京は人が多くて暑くてつかれた…。
結論からいうと何も動きはありません。
担当とUJ編集長と副編による謝罪と、法務部の人間二人による「ご説明」。
すべて事前に予測したシナリオ通りです。いわば儀式みたいなもん。

法務部の人は、集英社の差別的用語撤廃の取り組みの歴史を語るときは実に雄弁でした(これはこれで興味深い話だった。…今みたいな非常事態の時でなければ)。
が、具体的な今回の銃夢新装版の修正の部分にかかると論理的に矛盾しまくり。
僕は何度も相手の矛盾点をついて論破したが、相手は論破されたと思っていないだろう。
なぜならこれははじめからフェアな議論ではないから。
「結論」はすでにできていて、それに適当な理屈を並べているにすぎない。
集英社は絶対に「結論」を変えないし、間違っていました、と謝ることもない。
そして僕はすでに負けている。
新装版の修正に応じたときから負けている。
だからこれはすべて茶番。茶番だと分かっていてつきあってやった。
相手の顔は立ててやんないとな。

16日の会合では「今日は何も決定しないし、何も約束しない」と公言して臨みました。
そのため現在のところ、集英社でこのまま仕事を続けるか、それともほかの選択肢をとるか、まだ何も決定していません。


>銃夢BBSのレス
>タンニさん
>ということはクズ鉄町はアメリカのどこかなんでしょうか?

タンニさんゲートウェイアーチに行ったことあるんですか〜。
僕はゲートウェイアーチは文明復興編で資料あさりをするまで存在を知りませんでした。
クズ鉄町は現在のカンザスシティのあたりです。
文明復興編最後の方では温暖化による海面上昇で、北アメリカ大陸の東側は水没して巨大な内海になっています(晩年のアーサーの紋章に当時の世界地図があしらわれています)。
その後海面が下がり、現在の姿になりました。

>ミサイルライダーさん
> ゆきと先生が積みゲーの中で今一番プレイしたい、まだ
> 発売してない作品ならプレイしてみたい!
> というゲームはなんでしょうか?

「ゴッド・オブ・ウォー3」です。
このために新型PS3も数ヶ月前から用意してあったんですが、まだ一回しか電源入れてません。
突然時間ができてしまったので、これからやってみようと思います。

2010年6月15日火曜日

読者の皆さんへお願い

応援してくれている皆さん、ありがとうございます。
ひとつお願いがあります。
BBSなどで自由に意見を表明するのはかまいませんが、UJの他作品をあげつらうのは遠慮していただきたい。
変なところに飛び火させたくないのです。
今回問題とされた表現規制はすべてのマンガ家にかかわりあることですが、僕は全マンガ家の代表ではありません。
今回の件はあくまで僕と集英社のあいだの問題です。
ほかの作家さんは関係ありません。
よろしくお願いします。

2010年6月14日月曜日

読者の皆さんへ報告(2)

ご心配をおかけしています。
昨夜の続きです。

ふつうこういった重大な用件の場合、記録に残るようにFAXやメールでやりとりするようにしているのですが、今回は時間がなかったため、テキストとして残っているのは前回引用したメールだけです。
このあとは直接電話での応対となったため、内容を完全に再現するのは少しむずかしいです。

「発狂」という言葉が不適切表現とされたことについて、僕が一番懸念したのはノヴァ教授にまつわるセリフや表現、「狂ってる」「狂気の一千の貌」などまで規制されるとしたら、それは絶対に飲むことはできない、ということでした。
その後編集部が出してきた問題箇所は3カ所(前回のメール文参照)で、懸念したノヴァ教授にまつわる部分はありません。
しかし逆に疑問が生まれます。
なぜ「狂ってる」「狂気」がO.Kで「発狂」がダメなのか。
その疑問を編集にぶつけ、なにやらごちゃごちゃ言ってましたがよく分かりませんでした。
あまりにアホらしくてここに書く気にもなりません。
編集長に至っては支離滅裂な説明であることを自分で白状する始末。

そして、重要な点は、この3点のセリフを修正することに僕が同意しなければ、「発行権」という出版社の権利を行使して、新装版の出版は中止することになる、という事です。
本来なら少し進行を止めて、時間をかけて協議するところですが、今回はその時間もない。
24時間以内に決定して校了しなければ印刷にまにあわない、というのです。

こっちはこっちで連載の仕事を進めている最中。
しかも連載100回目で、UJ表紙イラストも描き、絶対に休めない状況。
それなのに考える時間もない。

結果から言うと、僕はセリフ3点の修正に同意しました。
「あとから追加で修正箇所を増やすことはしない」という約束と引き替えに。
そして、銃夢LO第100回目の原稿は、〆切までにきちっと上げることを僕は約束しました。
ちゃんと期日までに原稿を上げる、約束は守る、それがいつも公言している僕のプロの矜持だからです。

しかし修正に同意してからも悶々と悩む日が続き、現在は後悔しています…。
やはり修正要求は毅然とはねつけるべきではなかったかと。
その結果新装版の刊行が中止となり、銃夢LO第100回目を落とすことになったとしても、そうするべきではなかったかと。
俺はプロとして期日を守ることを優先したが、表現者としては純粋ではなかったのではないかと。
俺が自分の作品の表現を守らなかったら、いったい誰がそれを守ってくれるのかと。
………
だけど、仮に修正に同意せずに新装版や銃夢LO第100回を落とす選択をしていたとしても、後悔していたと思う。
つまり、これはどちらを選んでも僕は後悔するようにできていたのです。
………

つまるところ、今回問題にされた言葉「発狂」と、O.Kとされた言葉「狂気」は漢字1文字の差なわけです。
「発」という字がついているかいないか。
僕は電話で担当編集に問いただしました。
「今このタイミングでこんな問題を持ち出してくるということは、最悪の場合新装版の刊行中止、銃夢LO100話を落とすことになるのも覚悟してのことなんでしょうね?」
担当編集はYESと答えました。
要するに「発がついているかいないか」という問題と「銃夢LO第100回記念と新装版刊行」が等価、同じ重さだということです。
………

16日に集英社に出向いて話をすることになっています。
僕としてはもう、たいして話すこともないのですが、なにか動きがあったらここで報告します。

読者の皆さんへ報告(1)

ご心配おかけしております。
先ほど、銃夢LO連載100回目の原稿を上げました。
ウルジャンは予定通り出ます。表紙はガリイ&陽子です。
ですが紙面の華やかさとは裏腹に僕の心はズダボロです。
101回目のGLOはないかも知れません。

事件の経緯を簡単に説明します。
原稿執筆真っ最中の6月7日夜に担当編集から電話があり、今月に発売される予定の旧「銃夢/新装版」1巻について、「セリフの一部に問題があるので修正したい」とのこと。
具体的には「“発狂”という言葉が統合失調症を連想させるので、別の言葉に直してほしい」という。
言うまでもありませんが、「銃夢」はすでに発売されている作品であり、なぜ今になってそんな事を言い出すのか分かりません。
その場で判断するには重大すぎることなので、「新装版全7巻中、問題になりそうなセリフをすべてピックアップして、それに対する代案もつけて提出してください。話はそれからだ」と言って時間を稼ぎました。

翌日、担当からメールが来ました。
了解は取ってあるので全文掲載します。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
木城ゆきと様

おつかれさまです。
昨日、電話でお話した件、送ります。
新装版全7巻収録分について、編集部で協議しました。
以下の3箇所について、ご相談させて下さい。

1:完全版1/P.33/デッキマンの台詞
  「犯人の女は発狂した突然変異(ミュータント)だったのか」

2:完全版4/P.161/ザパンの台詞
  「まちがってお前を殺してしまい…発狂した俺は怪物になって
   すべてに復讐しようとする夢だ…」

3:完全版3/P.324/ハンターウォリアーの台詞
  「死ね! サイコ野郎」

それぞれの理由と、言い換えの提案は以下の通りです。


1:「発狂」が統合失調症(かつての精神分裂病)をはじめとする精神障害と
  強く結びついてしまう言葉です。その「発狂」した人が暴力的で危険である
  という受け取り方をされる表現を、現在は避けているからです。
 
  法務からは「”発狂した”の一文をはずす」という提案もあったのですが、 
 全くニュアンスが変わってしまうので、別案を協議しました。
  「犯人の女は暴走した突然変異だったのか」
  「犯人の女は正気を失った突然変異だったのか」
  「犯人の女はおかしくなった突然変異だったのか」
  
  ここの台詞のニュアンスを考えると「暴走した」「正気を失った」が
  比較的近いと考えます。
  
 
2:「1」の理由と同様です。

  協議した案は以下の通りです。
  「まちがってお前を殺してしまい…正気を失った俺は怪物になって
   すべてに復讐しようとする夢だ…」
  「まちがってお前を殺してしまい…常軌を逸した俺は怪物になって
   すべてに復讐しようとする夢だ…」
  「まちがってお前を殺してしまい…おかしくなった俺は怪物になって
   すべてに復讐しようとする夢だ…」
  
  ザパンの置かれている状況を考えると「常軌を逸した」「正気を失った」が
  比較的近いと考えました。


3:「サイコパス」=「精神病質」を意味し、「共感や他者との結びつきを
  全く示さないと考えられており、他者を自分自身のために操作する、
  反社会的行動をする個人」などとされています。
  
  精神障害の大きな3分類「精神疾患」「知的障害」「精神病質」に含まれ、
  薬事療法も心理療法も受け付けない、治療不可能な障害とされています。
  それ故、サイコパス=何をするかわからない恐ろしい存在、という表現は
  避けるべきと考えています。

  協議した案は以下の通りです。
  「死ね! 変態野郎」
  「死ね! クズ野郎」
  「死ね! クソ野郎」
  
  いずれも言い換えの難しいニュアンスですが、提案として
  ご一読下さいませ。


スケジュールも含め、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
今晩、あらためてご連絡させていただきます。
よろしくお願いします。


集英社UJ編集部 井藤 涼
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疲れたので続きは明日書きます。

2010年6月10日木曜日

悔しくて眠れないので愚痴を書く。

少し前に「ブラよろ」の佐藤先生を批判するようなことを書いたけど、全面撤回する。
佐藤先生、あんたは正しい。大手出版社はクソだ。

同志と信じ切っている作家を後ろから殴り倒し、顔を土足で踏みにじるようなことを平気でやりやがった。
いつもなら反撃するが、今回は両手足を縛られたような状態で反撃する選択肢がなかった…。

なぜだ。こんな扱いを受けるいわれはないはずだ。
今年に入ってから好きなゲームも我慢して、毎月の連載の仕事を上げ新装版の表紙を上げ単行本の表紙と原稿を上げウルジャンの表紙を上げ、頼まれれば色紙も描き仕事場撮影も受け、すべての〆切を守った。
6月のGLO100回記念を目指して。
それで編集部からのプレゼントがこれか。
あんまりじゃないか。
理由は企業の「保身」か。
もしくは俺への悪意か。このタイミングの良さ(悪さ)には作為的なものを感じる。

2010年5月16日日曜日

5月の書きこみ(1)-iPad予約しました。

いろいろと書くネタはあるのですが、煩雑になるので数回に分けて書きこみます。

iPad予約しました!!(^_^)
10日の深夜にアップルストアにアクセスしようとしたらビジーでつながらなくて、翌朝再度やってみたらちゃんとつながったので注文。
どうせ1年後にはもっといい新型が出るのはわかりきっているし、当分は日本語のコンテンツも貧弱なので、お試しのつもりで一番安いモデルを注文しました。

電子出版には一読者として、すごい期待を抱いています。
記事では電子出版のメインコンテンツとしてテキスト主体の小説などがよく取りあげられますが、僕は小説はほとんど読まないのでそっちはど〜でもいいです。
僕が個人的に今すぐにでも電子化してほしいのは雑誌。
毎月購読しているMacPeople、月刊秘伝、ムー、それから面白い記事があると買う月刊空手、月刊GUN、COMBATマガジン、ナイフマガジン、日経サイエンス、Newton、映画秘宝、等々。
これらはどんどんたまって場所も食うし、たまに資料を参照しようとしても行方不明。ということがしばしばあり、電子書籍化によるメリットは計り知れないです。

「秘伝」や「空手」などの武術専門誌では、今まで技をモノクロの分解写真で載せてたところを、カラーの動画で見せることができるわけだし(理論的には。コストなどはこのさい考慮外)、DVDなどもワンクリックで買うことができるかもしれないわけですよ(DVDの中身の動画をダウンロード販売する方がスマートか)。

ただIT関係の会社が出しているMacPeopleはともかく、ベースボールマガジン社や国際出版などの中小出版社がいきなりそんなハイテクメディアで出すノウハウがあるわけもなく、敷居がものすごく高いと思うんです。

そこでそういうソリューション、既存の出版物を電子出版に最適化するサービスの需要があると思うんです。
ああ。僕がマンガ家でなかったら、すぐにでもベンチャー起業してやっているところです。
でも僕はマンガを描かなければならないので、できないのです。
誰か代わりにやっておくれ!!
(僕が知らないだけで、もうそういうサービスはあるのかもしれないけど)

今日本の出版業界は、キンデルやiPadの襲来でビビリあがって、既存のパイを減らさないようにすることばかりに興味が向いてるような感じがしますが、むしろ逆です。
さらにパイが増えるチャンスです!!
物質としての紙は有限ですが、情報は無限です!!
出版社や編集者の役割がなくなるんじゃないかなどと不安がささやかれてますが、むしろその逆。
文章・画像・動画・広告・アプリケーション・ネットなどを縦横無尽に編集しプロデュースする人材が求められているのです。

…あ、ここまで書いてきて、マンガの電子出版について何も書いてないことに気がついた。
ん〜、読み手としての僕自身はあんまりマンガの電子出版にはあまり興味がわかないというか、別にあってもいいけど。という感じですね〜。
マンガが電子書籍になったからといってなにか新たな可能性が開けるかというと、特に期待するようなことはないですね。
せいぜい置き場所に困らなくなるぐらい?
モノクロのマンガに色がつくわけじゃなし、動くわけじゃなし(技術的にはどちらも可能ですが、ものすごくコストがかかるので、そんなオプションがつくのはごく一部のヒット作だけでしょう)。
「ベルゼルク」や「バガボンド」みたいな作品は物理的な本として手元に置いておきたいですし。
紙の本も電子書籍もどちらも選べるようになっているのがベターですね。

問題は、エロ・グロを含む日本のマンガがアップルのiPadで自由に販売できるのかということ。
レーティングやリージョンコントロール(販売地域制限)を整備した上で、自由に販売できるようにしてもらいたい。

2010年4月26日月曜日

レスなど。

> 銃夢BBS
> Ivanさん
> サイボーグの羞恥心ってどうなってるんでしょうか。

サイボーグの羞恥心は、その個々のサイボーグのボディの構造と、周辺環境の文化的状況によって変わります。
まず、銃夢の世界では地上・宇宙世界を問わず、メカっぽい外観のサイボーグデザインが主流です。
特別な理由でもないかぎり、人間に似せたシームレススキンのボディは作られないため(人間に似ているということにたいした価値が認められないため)、そうしたメカっぽいボディのサイボーグは基本的に羞恥心は必要ありません。
メカっぽいサイボーグもしばしば服を着ていますが、これは個性を表すファッションだったり、地位や所属を表す記号だったり、単なる防護用のカバーや追加プロテクターだったりします。

一方で、ザレムより上の宇宙世界ではシームレスのソフトスキンを使った一見人間そっくりのボディを作る技術が存在します。
TUNEDボディがそうしたソフトスキンのボディだという話は以前しました。これは潜入工作をしやすくするためで、色仕掛けが可能なようにSEXもできます。
銃夢の世界は現代日本と違って荒々しい暴力が吹き荒れる世界なので、戦闘に不向きな上に量産が難しく非常に高価なソフトスキンのボディは一部の特殊用途にしか作られませんでした。
(オランプはアンドロイドですが、その一例です。)

ガリィに限って言うと、ガリイは物心ついたときからサイボーグなので、体を見せることに対する羞恥心というものはありません。
服を着るのは単なるファッションや防護服としての役目や擬装するためだったりします。
現在のイマジノス2.0のしっぽのついたコートは、イマジノス細胞を変化させて作ったオーバーボディなので、厳密にいうと人間の髪の毛や爪と同じです。


> LONさん
> なんと小学館では単行本用の表紙イラストなどの描き下ろしはタダだそうです。

僕もコミックスのカバーは原稿料もらいませんよ。
巻末のおまけページやNG人生劇場だって原稿料は出ませんから。
それでも描くのは、コミックスは作者の印税10%、数万部の発行で数百万円の収入になるので、その中に描き下ろし原稿分のギャラが含まれているものと割り切って描いています。

佐藤先生がギャラ云々だけでごねたと聞くと奇異な感じがしますが、リンク先の記事を読んで少し納得しました…。

強引にスケジュールを決めた上にそれを忘れる編集者…そりゃ怒るわ。(`ε´)
こりゃ編集者が悪い。すぐ菓子折持って詫びに行くべき。
しかし佐藤先生…講談社でも小学館でも行く先々で編集者にひどい仕打ちを受けるみたいだけど…、僕自身はこんなひどい扱いを受けたことはないですね〜。
駆け出しのころは編集者に鉄拳制裁喰らわせる覚悟で持ち込みしてたし、デビューしてからもプロにあるまじき心根の編集者は遠慮なく攻撃する男なので、いいかげんな編集者は僕を避けたのかな〜?

でも佐藤先生の言い分にも同意できないところがありますね〜。
コミックスのカバーイラストは上記のようにタダとはいえ印税という形で帰ってくるのだし、それに雑誌の表紙の絵は(小学館では知らないけどウルジャンでは)20万円ぐらいのギャラになるので、これを描かせてもらえば充分にペイできるのではないかと思うのですが…。
※28日追記:よく考えてみたら、小学館のスピリッツやスペリオールの表紙イラストは専属のイラストレーターが描いてたかもしれません。だとしたらマンガ家の出番はありませんね。

自作の単行本を「他社の商品」と言うのも共感できない。
法的には佐藤先生の言い分が正論なんだろうけど、僕は自分の作品の単行本を自分の息子か娘のように思っています。
作者とアシスタントと編集者とデザイナーや印刷所方々の仕事が相まって完成したものであって、もちろんそれは「商品」だけど、僕一人の力では出来なかったものだし、広く本屋さんの店先に並ぶことなど一人の力ではとうてい無理。
もちろん今はネット販売がそれに取って代わると言いたいんだろうけど…。
ネット販売は否定はしないけど、それで佐藤先生が食べていけるとしたら、それは大手出版社の元でヒット作を出した有名作家だからでしょ。
(少なくとも僕が同じ事したら、たちまち会社が倒産します。)
まったく無名の新人がネットでデビューして、それでご飯が食べられるようになるのかな?
ネットでたくさんの新人マンガ家が食べていけるというシステムを実現したなら、それはすごいことなんですけど。


2009年11月22日日曜日

海外からのプレゼント

左の写真は海外からのファンレターに混じって送られてきたDVD。
一見ダーウィンの事績をたどるドキュメンタリーみたいですが、制作者と送り主が「CREATION MINISTRIES」となっているので不審に思い、サイトに行って見てみると、どうやら創造論者の団体らしい。


創造論というのはキリスト教原理主義の一種で、聖書の創世記に書かれているとおりに7日間で神様が世界を作り上げたと主張する立場。
創造論者からするとダーウィンの進化論などはあってはならないことであり、宇宙はまだ出来てから五千年ほどしか経ってなく、恐竜の化石もノアの大洪水の時に絶滅した動物の骨ということになっている。
日本でこんな主張をしたら「ラノベの読み過ぎか!!」と一蹴されるところだが、海外では大まじめにこの主張を通そうとしている人達がいる。
アメリカのカンザス州の学校で生徒に進化論とともに創造論を教える判決が出たのは有名。

で、そんな創造論者の団体が何でまた宿敵ダーウィンのDVDを作るのか、とも思いますが、たぶん一般人に向けて表向きダーウィンの功績を称えながら実は彼は間違っているんだよ〜と布教する内容なのではないかと。(見てないので想像。英語のDVDだし。)
で、そんなものをなんでまた日本のマンガ家である僕に送ってよこしたのかは謎。
GLO13巻の金星人の解説でEVOLUTIONとか描いたのが気に入らなかったのか?


>銃夢BBS
>われわれファンの応援が足りなかった?

元気づけのコメントくれた皆さん、ありがとうございます。
川村君の指摘通り、出版不況と言われているのは今に始まったことではなく、マンガ業界もいろいろと景気の悪い話を耳にします。
大御所といわれている有名作家の単行本部数がほんの少ししかないケースとか、連載作品を単行本で出してもらえない新人作家のケースとか…。
それらに比べると僕の現状は恵まれている方です。

来年2010年は旧銃夢連載20周年、銃夢LO連載10周年のアニバーサリーイヤーで、ウルジャンでのLO連載回数も来年夏頃に100回を迎えるので、ウルジャン編集部で銃夢キャンペーンをやろう、という話が上がってきています。
具体的には、旧銃夢をLOと同じ判型の新装版で出すという案があります。
僕の仕事は増える一方なのですが、(@_@;)
頑張ってやるつもりです。

>アバター

少し前の記事ですが、「アバター」のプロデューサーのインタビュー。


インタビュー(2)の方に「銃夢」映画の方の話題が少し出ています。
新しい情報はありませんが、少なくとも忘れてしまったわけではないようです。


2009年9月28日月曜日

9月最後のカキコ。

※しつこくお知らせ※
僕が巻末解説を書くことになってしまった竹書房【「超」怖い話クラシック ベストセレクション 殯(もがり)】がいよいよ10月2日に発売されます。この日は本屋にGOだ!!

>銃夢BBS
>Ivanさん
> 昔、小林よしのりさんが「マンガ家はコドモが多すぎる!」と怒っていました
> がゆきとさんの目から見てもそうですか?

僕はほかの先生とのつきあいがないのでわかりません。
しかし僕自身の経験から言っても、若くしてマンガ家になってずーっとマンガばっかり描いているわけですから、よほど本人の自覚がないかぎり精神がガキのままということは充分あり得ます。
島田先生の「吠えろペン」でも、登場人物に「ずっとマンガばかり描いている人間が…大人になれるわけないだろうっ!!」と言わしめていますし。


さて、僕は仕事に入ります。また来月。
来月はウルジャン10周年記念で、ウルジャンピンナップ画集などが発売されるそうなので、要注目ですよ!!

2009年6月19日金曜日

銃夢/銃夢LOの電子書籍化のこと

皆さんお久しぶりです。
今回の仕事は〆切が通常通りだったので、余裕を持って31p上げられました。
室内での会話のシーンがメインだったので、バストアップ構図が多くて、構図が単調になって苦労しました。

最近またキャラの顔のデッサンが狂ってきてる感じがする。
一度デッサンの整合性がとれるようになっても、たくさん描いているうちにまたアライメントがバラバラになってきます。
そのへんは、使い続けていると狂いが出てくる機械と同じ自然現象なんです。
機械の場合は調整用のネジを締めたりパーツを交換したりしてアライメントを直せますが、人間の場合は調節用のネジはないということが違う点…。
自分の認識のアライメントが狂っている場合は、どうにも直しようがないことが多い…。
少し時間をおいて見直すことで、デッサンの狂いを認識してなんとか修正するのがやっと。

それにしても、自分はほかの作家に比べても、デッサンの調子の波が不安定なような気がする。
デッサンのボロが出ないようなキャラのフォルムや構図を研究した方がいいのか…。


>銃夢BBS
銃夢/銃夢LOの電子書籍化についての皆さんの意見、興味深く見させていただきました。
多少は賛成意見もあるかなと思ったのですが、ここに集うコアなファンの皆さんは軒並み否定的ですね〜。

もう5年くらい前になりますが、トミタさんにマンガの電子書籍化(具体的にはマンガのネット・携帯電話での配信)について意見を聞かれました。
他の作家さんの作品をネットや携帯で配信するサービスの可能性を集英社がさまざまに模索・研究することには僕は賛成であり、積極的に行うべきだと提案しました。
一方で、僕自身の作品はネットや携帯での配信はまだしたくない、と言いました。
理由は、現時点でのネットや携帯でマンガを読む時のユーザーエクスペリエンス(読書体験)が僕の必要としている基準に達していないからです。
逆に言えば、今後のネットや携帯の環境の進化の度合いによっては、僕の作品の電子配信のGoサインを出すこともあるということです。

過去何度か電子配信のオファーがありましたが、上記の僕のポリシーを担当編集者が熟知しているので、すべて拒否しています。
また、銃夢は映画契約の敏感な問題を含んでいるので、集英社が僕に無断で配信してしまうようなこともないです。
唯一の例外は、僕の作品のフランス語版を出しているフランス・グレナ社で、オンラインでの試し読みを許可しています。

僕は集英社ではもっとも早くからデジタルデータ入稿をしている作家の一人なんですが、技術的にはデジタル原稿をネット配信するのは非常に簡単な手続きですむので、電子書籍化のアイディアが出てくるのは必然でした。
しかし結局のところ、その作品がどんな読者層に向けて作られているかによって、電子書籍化に適しているか、不適か、が決まるものと思います。