GMC原稿が無事終わったので、久しぶりに時事問題について書く。
ロシアがウクライナに侵略して、一ヶ月ちょっとがたった。
プーチンの愚かな暴挙によって、この30年の歴史の流れが大きく変わってしまった。
ウクライナの善戦によってロシア軍の無能さが全世界にさらされた。
プーチンは21世紀最悪の独裁者の汚名を向こう百年にわたって受ける事になるだろう。
ウクライナ戦争がどんな形で終わるのかはまだわからないが、ロシアが失った信頼はそう簡単には取り戻せない。
正直に言うと、今回戦争が始まるまで、ウクライナがどこにある国なのかさえ知らなかった。
不勉強ですいません。しかし日本人の多くがそうだったのではないかと思う。
どこにあるか知らない国の大統領とか、さらに知るよしもなかったのだけれど、
ゼレンスキー大統領、彼は今や英雄だ。
何度も暗殺作戦があったと聞くが、彼は逃げなかった。
真っ先に国を捨てて逃げたアフガンのどこぞの大統領とは対照的だ。
プーチンの暴虐に屈せず立ち向かうウクライナの皆さん、応援してます。
わずかですが人道募金もしました。
個人的な話をしよう。
僕は、ロシア民謡が好きである。ドストエフスキーなどロシア文学も好きだ。
ソ連時代からのロシアの宇宙開発の歴史には敬意を持っている。
ゆえに、銃夢の世界では作中の宇宙歴はスプートニクが飛んだ年を元年としている。
共産主義は嫌いだ。スターリンも嫌いだ。
冷戦時代を覚えている。子供ながらに核戦争の恐怖を感じていた。
ペルリンの壁が崩れた時を覚えている。冷戦が終わった時、自分は二十二歳だった。
これから世界はより自由になり、核兵器におびえる事もなく、良い世界になっていくのだと思えた。
貿易により国と国とが密につながり、互いに相互に依存し、共に豊かになっていく事で、戦争などしないで済む世界になっていくのではないかと思えた。
日本とロシアの間には北方領土問題があるが、経済関係を通じて互いにWin-Winの関係になる事で、平和的に解決していけるのではないかと思えた。
だがそれはすべて幻想だった。
プーチンは柔道やっているから、犬好きだから、きっと話がわかる人に違いない…
これらは全部、脳内お花畑の日本人(僕を含めた!)の一方的な思い込みだったのである。
それが今回のウクライナ戦争ではっきりとした。
さらに悪い事に、プーチンは戦争指導者としても三流だった。
部下の佞言を真に受けて、現実を見誤り、セオリーを無視した戦略をごり押しした結果、世界史に残るレベルの醜態をさらした。
僕は、漫画描き、表現者として、あらゆる表現規制に反対である。
表現の自由は、自由主義の元で実現する。
自由主義の敵、強権主義、専制主義、独裁主義はひとしく僕の敵である。
ゆえに、プーチンは僕の敵である。