2013年4月30日火曜日

銃夢LO 18巻発売


皆さんお久しぶりです。

銃夢LO 18巻、やっとの事で発売しました~。
長かった…orz
読んでるとわからないかもですが、作画がゲロ大変で、その上土壇場でのネームの度重なる変更、精神状態の落ち込みや病的な筆の遅さ、休載などいろいろあって、やっとの事で刊行にこぎ着けました…。
ガリィクエスト1巻で終わらせるつもりが2巻にのびちゃったし…。

18巻読んだ読者からボコボコに叩かれたらどうしようとびびっていたので、思いのほか好評のようで少し安心しました。
感想書きこんでくれた皆さん、ありがとうございます。

>銃夢BBS
>Ivanさん
>「ガリィクエスト」の呼称の由来は?ゆきと先生ドラクエに興味無いはずですが、
>番号をローマ数字で振ってドラクエっぽく見せたのは先生が考えたのですか?

ガリィを探す旅だからガリィクエストです。
番号は僕が描いたネームの段階では丸数字でしたが、担当編集の人がローマ数字にしました。僕はべつにドラクエは意識してませんが、担当の寺田さんはファミコン世代っぽいのでドラクエのイメージがあったのかも?


今月は23日深夜まで仕事していて、そのあとすぐ会社の経理やら打ち合わせやらが入ってろくに遊んでる暇がなかったんだけど、タイミング良く予約していたゲーム「Steins;Gate 線形拘束のフェノグラム」が来たのでプレイしてみました。

「Steins;Gate 線形拘束のフェノグラム」(Xbox360)


名作・シュタゲこと「Steins;Gate」の続編。「前作の話の続き」という意味の続編ではなく、前作のストーリーの中の少し異なる世界線を異なるキャラクター視点で描く10本(正確には11本)の短編からなる。
※そのため、原作「Steins;Gate」をやってオリジナルストーリーを知っている必要がある。以下の文は原作「Steins;Gate」のネタバレを含むので、未プレイの人は注意。※

1年前に出た「Steins;Gate 比翼恋理のだーりん」は脳天気なギャルゲー的作りで、オリジナルの深刻な設定を丸無視していたりして、シナリオも出来不出来が激しくてあまりおすすめできるものではなかったが、今回の「線形拘束のフェノグラム」はすごくいい…です。
また泣いてしまいました。( ;∀;)

ネタバレにならない範囲で各エピソードのさわりを紹介。

「走査線上のジキル」
オカリン視点。ラウンダーの襲撃の気配もまゆりの死の心配もない秋葉原で、なぜかオカリンは正義の着ぐるみヒーロー「アルパカマン」となって悪党と戦っている。
はじめは実にバカバカしいIFワールドに見えているが、終盤衝撃の事実が明かされる。
ものすごく離れた世界線に見えて、実はオリジナルストーリーに回帰する話。

「絢爛仮想のファムファタール」
ダル視点。ダルの未来の奥さんとなる阿万音ユキが偶然からテロ計画に巻きこまれ、それを救うべく奔走するダル。二人の出会いとすれ違いが劇的に描かれる。ラウンダーのラボ襲撃がない世界線のようなので、かなりオリジナルの世界線とは離れているもよう。それにしてもダル、なんという勝ち組…。

「黄昏色のソーテール」
クリス視点。タイムリープマシンを完成された日の夕方から始まる。錯乱したオカリンを追っていたためラウンダーの襲撃には遭わず、代わりにまゆりとダルが行方不明になってしまう。憔悴したオカリンを保護したフェイリスと合流するクリス。クリスとオカリンはフェイリス邸に避難する。クリス達は、オカリンがまゆりを救おうとタイムリープをくり返し、それでも救えなかったということを理解する。なんとかまゆりと、オカリンを救おうと知恵を絞ろうとするクリス達。
オリジナルの世界線にかなり近く、実際にあってもおかしくないエピソード。フェイリスパパが存命で、秋葉家とクリスの意外な縁が明らかになる。また終盤には意外な人物がキーマンとして登場する。
数年前に出たドラマCDのクリス編の設定が生かされていて、すごく好きなエピソード。最終的にはきれいにオリジナルストーリーに回帰する。

「幽霊障害のランデヴー」
鈴羽視点。ラボメンの引き留めにあったためにタイムマシンが雨で壊れてしまった後からの話。鈴羽が翌朝起きてみると、軍服姿の鈴羽、メイド服姿の鈴羽が増えていた。
どうやらテレビのゴースト障害のように、異なる世界線の鈴羽が同じ世界線に重なり合ってしまったらしい。
一見スラップスティックギャグみたいな展開になるが、任務のために時間のかなたに消えていく運命を選んだ鈴羽の迷いと希望を描いた話。

「雨鈴鈴曲のスクレイパー」
Mr.ブラウンことブラウン管工房店長・天王寺裕吾視点。オリジナルの世界線ではMr.ブラウンはラウンダーのFBという裏の顔があったが、この世界線では完全な堅気の様子。萌郁もブラウン管工房のバイトをしているので、オリジナルのトゥルーエンドにあたる「シュタインズゲート世界線」に近いのかもしれない(クリスは普通に居るのだけど)。宝くじで三億円当ててしまい、愛娘・綯の「なにか足りない感じ」を金にあかせて解消しようとするMr.ブラウン。
完全にスラップスティックギャグだが、最後に「なにか足りない感じ」の正体が明らかになったとき、ホロリとさせられる。

「桃色幻都のシャ・ノワール」
フェイリス視点。フェイリスと鈴羽が親友になり、レザースーツのヒーロー「シャ・ノワール」となって秋葉原の評判を落とす3大都市伝説の正体を追う。しかしふだん抑圧していた欲求不満が顕在化したのか、はたまた猫の呪いか、すっかり情緒不安定になってしまうフェイリス。せっかく仲良くなった鈴羽ともケンカ別れしそうになるが…。
何重にもペルソナで武装して、なかなかその本心を他人に見せない上、他人のウソを見抜く特技を持っているフェイリスという複雑なキャラクターの違った面が見られる。
またエンディングは、オリジナルを含めたすべての世界線の中で、もっとも鈴羽が「報われる」エンディングだと思う。

「迷宮錯綜のヘルマフロディトス」
ルカ子視点。オリジナルの「ルカ子ルート」をルカ子視点で深く描く。

「悠遠不変のポラリス」
まゆり視点。オリジナルの「クリスルート」に近い。クリス最後の日、クリスのホテルに泊まってさらに親睦を深めあうまゆりとクリス。まゆりはそこで、オカリンとクリスが隠していた秘密…まゆりの死を避けるために二人が取ろうとしていた選択のことを知ってしまう。しかしまゆりには、かねてから考えていた「切り札」があった…。
3人の、互いを思い合う気持ちが切なくて涙腺決壊。結末はまったく思いもかけない世界線に行き着く。「比翼恋理のだーりん」を除くと、まゆりとオカリンが結ばれる唯一の世界線か?

「昏睡励起のクアンタム」
萌郁視点。オリジナルの、ラボ襲撃の8月13日までとほぼ同じ世界線。違うのは、萌郁がクリス、まゆりと仲良くなってしまっていること。オカリンと初コンタクトを取るシーンなど原作通りだが、萌郁視点ではすでにFBの指示の下で動いていたなど、いろいろと新しい発見がある。

「三世因果のアブダクション」
再びオカリン視点。タイムリープ直後、その前の記憶が判然としないオカリンの元に、差出人不明のDメールが届く。その内容はまゆりを誘拐して脅迫するかのような文面。慌てたオカリンはクリスと相談し、まゆりの外出を阻止すべくDメールを送る。世界線が変わり、まゆりはダルと仲良くラボでお料理。しかし油火災でラボが火事に。オカリンは直ちにタイムリープで飛んでクリスに相談。再びDメールを打つが、今度は無人のラボに大量に飛び散った血痕が…!
3つの世界線の中で堂堂巡りをしてしまうという推理劇。謎の脅迫者の正体は?オカリンは東京湾に沈められてしまうのか…!?

「月暈のビヴロスト」
天王寺綯視点。オリジナルから約2年後。綯は中学生になり、フェイリスこと秋葉家に引き取られて普通に生活している。2年前の夏に何があったのか、2階のラボメンのみんながいきなりいなくなったのはどうしてか、なぜ父が突然死んだのか、誰も教えてくれず、自分だけが「部外者」であったことを寂しく思っている。そんなある日、行きつけのゲーセンでダルの姿を見つけた綯。ダルはDメールで未来を変えるべく危険を冒して秋葉原のラボに戻ってきたのだという。綯はダルに協力を申し出る。
中学生の綯とダルという、一風変わった組み合わせのエピソード。女子中学生の目から見た、ダルのダメ人間っぷりが見事。オカリン達の負け戦に終わったらしき世界線で、寂寥感が胸にしみる。