2017年10月29日日曜日

下書き動画2本目と仕事道具11-トレス台



仕事道具11-トレス台


(写真1)
動画撮影でフリッカー(しま模様)が出てしまうので、新しいトレス台を購入した。
進光社のNEW LEDトレーサーA3(N330A-02)。


(写真2)

売りはブルーLEDを初めて量産したことで有名な日亜製のLEDを搭載し、制限抵抗方式という回路を使うことでフリッカーが出ず、耳障りなノイズもない。
フリッカーはLEDの高速の明滅によって生じるので、フリッカーが出ないということは眼精疲労もしにくいと思われる。
またアルミフレームを使うことで本体の剛性が高く、たわみにくく、回路の放熱にも配慮されている。
電源スイッチがサイドにあるのもうれしい。
お値段も良心的。


(写真3)

うちの仕事場では写真のように上に特注のガラス板をのせて作業スペースを拡大しているので、トレス台のスイッチが上面にあったりすると使えないのだ。
ガラス板は厚さ5mm、極薄の滑り止めパットを噛まして動かないようにしている。
トレス台の下にはA2の製図板、ブロックを置いて傾斜をつけ、ゴム板を敷いてがたつかないようにしている。
作業台ががたつくようでは精密な絵は描けない。


(写真4)

机の下のフットスイッチ。これでトレス台のオンオフをコントロールする。
作業効率がぜんぜん違ってくる。

2017年10月26日木曜日

ぶっちゃー通信#1



動画のテスト公開です。
うまくいくようだったら制作中の映像などもあげていきます。

2017年10月24日火曜日

仕事道具10-下書き2_グレースケール描画


(写真1)

爆発や炎など、グレーの濃淡で表現したい絵は、下書きの段階で素材を用意する。
画像左が原稿の下書き。爆発の輪郭だけが描かれている。
画像右が別紙に鉛筆などで描いた爆発。これをそのまま高解像度グレースケール(300~600dpi)でスキャンし、レベル補正でコントラストを調整した後ペン入れ原稿にコピペする。
状況により、爆発の輪郭線を描かないでペーストしたり、ペーストした後PhotoShopの指先ツールでグレーの部分をなじませたりする。


(写真2)

別紙に使った紙は.TooのPM PADホワイトB4。マーカー用に作られた薄手の紙。
別に普通のコピー紙でも良いのだが、PM PADは値段が高いだけあって鉛筆の乗りがよく、紙のテクスチャーもほどよく出る。


(写真3)

下書き原稿の上に別紙をテープで仮止めし、トレス台の光を当てて鉛筆(芯ホルダー)やシャーペンなどで爆発を描いていく。
ペン入れはしないので、一発描きである。
左はネットからあさった爆発の資料写真。
左下にあるのは芯を削った粉。これを綿棒で紙になでつけることでなめらかな濃淡を出す。パステル画の技法である。


(写真4)

爆発のアップ。

印刷するとグレーの部分は網点の濃淡で表現される。

2017年10月22日日曜日

仕事道具09-下書きに使う道具5


(写真1)

製図用ブラシ。消しゴムのカスをはらうのに使う。
昔のマンガ入門書などに、消しゴムのカスをはらう道具としてよく羽ブラシが載っているが、原稿用紙に消しゴムのカスがこびりついてしまうようなケースでは羽ブラシでは非力すぎるため、うちの仕事場では製図ブラシを使うようにしている。
写真の製図ブラシはやや大型の高級品で、背面にベルベットがついており、より念入りにカスをこそぎ落とすことができる。
マグネットフックに引っかけておけるように針金で輪を作ってある。


(写真2)

スコッチ はってはがせるテープ(幅18mmと12mm)。
12mmの方は市販のメンディングテープカッターに入れて、片手でカットできるようにしている。
レイアウト紙の仮止めや、マスキングテープなどとしても多用する。
粘着力がなくなるまで再利用するので、あんがい長持ちする。


(写真3)

いずみや 写植用ピンセット。
いずみやは現在の.Tooの前身の会社で、お茶の水などにあった画材専門店。
これは1985年当時3000円ぐらいした高級品で、もう32年も愛用している。
昔はエアブラシのマスキングシートをはがすのに使ったり、スクリーントーン作業の時に使ったりした。現在はマスキングシートもスクリーントーンも使わなくなってしまったが、はってはがせるテープを使うときに活躍している。


(写真4)

コレクト 情報カード(無地)No.C-531
手敷き紙(原稿用紙に手の油がつかないように、作業の時に手の下にひく紙)として長年愛用している。
たしか高校入学の際に近所のおばさんからお祝いとしてもらった品だったと思うが、勉強しない僕としては情報カードなんて使い道がないと思われた。だがマンガを描くときの手敷き紙として最適であることを発見し、以来リピート購入して35年。
手敷き紙なんてなんでもいいように思われるが(実際、むかし臨時アシスタントに行った時はお菓子の箱を分解して使ったりした)、いくつかの要件がある。
1.適度な厚さがあること。手の汗を通さない厚さがなければならない。よってコピー紙などは薄すぎてダメ。
2.手触りが良いこと。ビニールやプラスチックのシートは耐水性という点では満点だが、手触りが悪いのでダメ。
3.適度な大きさ。大きな紙を切ればいいのだが、ひんぱんに取り替える物なので、あらかじめ適度なサイズにカットしてある物が望ましい。
4.無地。なにか印刷されていると、インクが原稿用紙を汚してしまうことがあるため、無地がベスト。


(写真5)

マックスファクトリー figma archetype:he(左)、figma archetype:she(右)

デッサン人形。以前はタカラのミクロマンをデッサン人形に使っていたが、関節がやわになって手足が取れまくるようになってしまった。
その後フィグマシリーズからこれが出ることを知って買った。
通常の美術用デッサン人形よりも体型がアニメ・マンガ寄りにデフォルメされている。


(写真6)

バンダイ S.H.フィギュアーツ ボディくん DX SET(左)、S.H.フィギュアーツ ボディちゃん DX SET(右)  


デッサン人形。後発だけあってよく研究されており、フィグマのアーキタイプに比べて首の付け根やつま先が稼動するのはポイント高い。デラックスセットは刀や拳銃などといった小物が付属、それらを台座の中に収納しておける工夫がされている。

2017年10月18日水曜日

仕事道具08-下書き


(写真1)

※一部ペン入れされてしまっているが、ご了承ください。
人物などの構図やデッサンや位置決めを的確に行うため、いったんコピー紙にラフを描き、それをトレスして下書きを描いている。
この工程を僕は「レイアウト」と呼んでいる。
右側の紙がレイアウト。左が原稿。
レイアウトではコマの外にある部分までおおざっぱに描き、デッサンに矛盾がないようにしている。
また、絵を2枚の紙に分けてPhotoShopで合成するようなケースでも、レイアウト手法は有効。写真では真ん中の段のキャラクターの手を別紙に描き分けている。
下書きの時間が多くかかるのが欠点。


(写真2)

3Dモデルをテンプレートにする。
自動車などデッサンの面倒な物体はあらかじめShadeで簡単な3Dモデルを作り、シーンをトーンシェイダーでレンダリングしてプリントアウトし、それをトレス台で透かしながら下書きを描く。
ちなみにフキダシの中の文字は下書きに邪魔なため消してある。フキダシだけ残してあるのは、フキダシを考慮した構図にするため。前述したようにフキダシは別レイヤーで作ってあるので、絵はフキダシ無しの状態で描く。


(写真3)

下書きができたところ。
この段階で低解像度でスキャンし画像を保存しておく。
その後にペン入れに入る。
左上に見えているのはGoogle画像検索で集めた銃器の資料。
正面上に少し見えているのはネーム。クリップでまとめてフックに吊してある。


(写真4)

見開き。2枚のB4原稿用紙をテープで貼り合わせて作る。
B3(見開きフルサイズ)は大きすぎてそのままではスキャンできないため、半分にばらし、一枚ずつスキャンして、最終的にPhotoShop上でつなぎ合わせる。
画像は3Dモデルをトレス台で透かして見たところ。


(写真5)

見開きの下書きができたところ。

青のシャーペンで影などのトーン指定をしていることがわかる。

2017年10月10日火曜日

仕事道具07-原稿用紙を準備する


(写真1)

コクヨのB4ケント紙(135Kg、品番セ-KP14)をメインの原稿用紙に使っている。

ネームができて、編集からGOサインが出たら、まずケント紙に枠線を引く。


(写真2)

画像左はアクリル板で自作した枠線テンプレート。3枚のアクリル板からなっており、裁ち切りの外枠と内枠のラインを描くことができる。
画像右は外枠と内枠を描いたケント紙。
外枠は消しゴムがけで消えないように青いミリペンで、内枠は消しゴムで消えるようにシャープペンで描いている。
スキャンしてPhotoShopで仕上げするので、多少の誤差が出てもいいように数ミリ大きく作っている。
これをあらかじめ枚数分作ってストックしてある。


(写真3)

ネームを見ながらシャープペンで枠線を描いていく。


(写真4)

シャープペンでフキダシ、セリフ、ノンブルを書く。これがセリフの最終決定稿となる。この枠線とフキダシだけの状態で低解像度(72dpi)でスキャンしておく。

これを元にフキダシを作る。
フキダシ・セリフだけを別の紙にトレースし、600dpiでスキャンする。これはデジタル仕上げの最終段階でフキダシのレイヤーとして使用する。


等倍でコピーをとり、編集部に郵送する。編集部ではこれを元に写植を作る。

2017年10月6日金曜日

仕事道具06-下書きに使う道具4

定規類

画像上から
クツワの36cm定規。
一番ひんぱんに使うサイズなので、いろいろと要求ポイントがある。
・長さは33cm以上40cm以下
これはB4原稿の長辺の長さを最低基準としている。40cm以上あると取り回しがしづらくなる。
・片側のみエッジがついていること
エッジはペンなどで線を引くときににじまないように断面が斜めにカットされている部分。プラスチック定規ならば大抵ついているが、これが両側についていると三角定規と組み合わせたときに使いづらくなるため、片側のみがよい。
・色がついていること
紙の上で視認性がよいため。

画像上から2番目
ウチダ45cm定規。
溝引きのための溝が入っているのがポイント。
溝引きとは、筆などで直線を引くためのテクニックで、「溝引き棒」という先の丸いガラス棒と筆をいっしょに握りこんで、ガラス棒の先端を定規の溝に当てて線を引く。

画像上から3番目
ウチダ60cm定規。
他に1メートルの定規などもあるが、このサイズになるとめったに使わない。
たまに紙を継ぎ足して遠い消失点を出したりするときに使う。

画像上から4番目
方眼定規(メーカー不明)
エッジの反対側にステンレスの板が埋め込まれており、カッターで直線を切るときなどに重宝する。滑り止めのビニールテープが貼ってある。

大きい三角定規
ステッドラー・マルス564 36TN。
エッジがついており、直角の長辺が36cmある。この長さはB4原稿の縦を余裕でカバーする。
クツワの36cm定規と組み合わせてひんぱんに使う。ペン入れにも使用するため、原稿を汚さないように武藤精密のフローテングデイスクという丸いアルミ板に粘着剤がついた物を貼ってある。

小さい三角定規
ウチダ二等辺三角定規(12.8cm)。

あえてエッジがついてない物を選んだ。これはちょっと用途が特殊で、絵を2枚の原稿用紙に分けて描く時に矩が合うように(直角になるように)当てて使う。
テンプレート類

画像右から
ウチダ真円テンプレート。

画像中央
.Tooパース定規
消失点が出せないぐらい遠くにある絵のパースを取るときに使う。

画像左
.Too楕円テンプレートセット
貴重な15度から75度までの楕円テンプレートのセットで、当時3万円ぐらいした。現在は絶版。
その他・補足

画像右
武藤精密のフローテングデイスク。上の三角定規の足がこれ。
そのままでは少々滑りが良すぎるので、荒いヤスリで表面を少しザラザラにして使っている。

画像左
三菱uni COLOR 0.7-205C ブルー
「下書きに使う道具1」で紹介した消せるカラー芯。

2017年10月3日火曜日

仕事道具05-下書きに使う道具3

画像上
精密コンパス。

画像中
ウチダの製図用コンパス。軸をのばして大きな円を描くこともできる。専門学校の教材セットの中に含まれていたもので、32年は使っている。(2017年現在)

画像下

デバイダー。目盛りを調節することで線を等分割するのに使う。32年もの。

仕事道具04-下書きに使う道具2

画像右上
トンボ・MONOノンダスト消しゴム。
手の油がつかないように紙カバーの部分をつかんで使う。消しゴムが減ってくると、カバーも後ろへずらしながらつかうことになる。この時大きな消しゴムだとすぐカバーが破れたりしがちなので、小さい消しゴムを使い、消耗したら早めに交換するようにしている。

画像下
サクラクレパスの電動消しゴム。細かい部分を消すときに使う。
単四電池2本で動く。エネループを入れて使用。
充電式の電動消しゴムは充電池の耐久性に問題があるので、いかなる時にも使える乾電池式の方が信頼性が高い。

画像左上
字消し板。製図用具の一種で、さらに細かい部分の消しゴム掛けに使う。

専門学校の教材セットの中に入っていたものなので、かれこれ32年も使っている。